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三井 昌志
Masashi Mitsui

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赤を絞る男 / ID: india15-25373
赤を絞る男
染色工場で赤く染めた糸の束を絞る染色職人。額に汗をかきながら仕事に打ち込む男の所作に、一瞬特別な光が宿る。この糸を使って作った色鮮やかな布は、インド国内で販売されるだけでなく、中東やアフリカなどの外国にも輸出されているという。昔ながらの手仕事に頼った工場であっても、グローバル化と無縁ではないようだ。
（Tamil Nadu, India 2015）
羊飼いの旅 / ID: india18-45296
羊飼いの旅
インド西部グジャラート州の平原で出会った羊飼いのDiruは、白い民族衣装を着て、白いニット帽を被り、二百頭ほどの羊を率いていた。羊飼いたちは、流れる雲のようにゆったりとした時間の中で、自然の力を利用して生きていた。文明の利器に頼らなくても、どこに草地があり、どこに水場があるのか、全ての情報は彼らの頭の中に入っているのだ。
（Gujarat, India 2018）
赤一色の市場 / ID: india18-23248
赤一色の市場
トウガラシ市場は、インドで最も刺激的な市場だった。男がトウガラシを乾燥させるためにかき混ぜると、辛み成分のカプサイシンが大量に揮発し、涙と鼻水が止まらなくなるのだ。ここで働く男たちは普段からカプサイシンに慣れている「トウガラシのプロ」であるはずだが、それでもクシャミや咳を連発し、涙をぼろぼろと流していた。
（Andhra Pradesh, India 2018）
仏師の休息 / ID: my18-01542
仏師の休息
国民の８割が仏教徒であるミャンマーでは、仏像づくりが盛んだ。特に中部の街マンダレーには、大理石の仏像を作る工房が軒を連ねている。電動カッターでおおまかな形を削り出してから、ノミやヤスリで細部を整えていく。大理石の粉が飛び散る現場では、職人も石仏のように真っ白になって働いていた。
（Mandalay, Myanmar 2018）
サリーの図柄 / ID: india16-45721
サリーの図柄
インドの伝統衣装サリーの図柄を手作業でプリントする職人。台に固定した布の上に、透かし柄の入ったスクリーンを載せ、腕の力で染料を押し出して、柄を転写する。職人には正確性と力強さが要求される。近年は機械によるプリントを行う工場も増えているが、小ロットの製品や、薄い布地にプリントするときには、まだハンドプリントの方が効率が良いという。
（Gujarat, India 2016）
綿花の収穫 / ID: india17-36290
綿花の収穫
インド西部グジャラート州で綿花を収穫する人々。インドは世界最大の綿花生産国で、乾燥地帯を中心に全国で綿花が栽培されている。人件費が安いため、収穫作業はいまだに人の手に頼っている。綿花生産が多くの人の雇用を支えているのだ。収穫した綿花は紡績工場で糸になり、伝統衣装のサリーやルンギーへと加工される。
（Gujarat, India 2017）
仏に供える蓮の花 / ID: my16-18318-2
仏に供える蓮の花
木製ボートに乗った若者が、沼地に咲いた蓮の花を摘んでいる。ミャンマーにおいて人口の8割を占める仏教徒にとって、泥の中でこそ美しく咲く蓮は、特別な意味を持つ花だ。仏教儀式に欠かせないお供え物として、お寺の前などで売られている。
（Rakhine, Myanmar 2016）
ロヒンギャの故郷 / ID: my17-06118
ロヒンギャの故郷
そこには過酷な状況にあっても誇りを失わず、黙々と畑を耕し、種をまく人々がいた。不条理に直面し、貧しさを背負いながら、自分たちがやるべき仕事に精を出す人々がいた。「父も祖父もここを耕してきたんだ」とロヒンギャの村人は言った。「やがて子や孫たちも、この畑を耕し、種をまくだろう。ここは私たちの故郷だから。誰に何を言われても、離れるつもりはない」
（Rakhine, Myanmar 2017）

緑を担ぐ男 / ID: india17-12495
緑を担ぐ男
インド南部アンドラプラデシュ州にある染色工場で働く男。化学染料で緑色に染めた糸の束を、肩に担いで運んでいる。インド人に好まれるのは、原色に近い鮮やかな色だ。強烈な日差しが照りつけるインドでは、淡い色彩よりも派手でカラフルな色の方が似合うようだ。
（Andhra Pradesh, India 2017）
水を運ぶ女 / ID: india19-73180
水を運ぶ女
インド北西部ラジャスタン州はとても乾燥した土地で、雨季の4ヶ月間を除いてほとんど雨は降らないから、住民たちにとって水の確保は大きな問題だ。村には雨季のあいだに降った雨水をためておく貯水タンクがあり、女たちは水瓶でその水を汲んで、家に運ぶ。水瓶を頭に載せるのは、それが最も安定して楽に運べるからだ。
（Rajasthan, India 2019）

三井 昌志

1974年京都市生まれ。東京都八王子市在住。神戸大学工学部卒業後、機械メーカーに就職し、エンジニアとして2年間働いた後退社。2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅を行う。
以降、写真家としてアジアを中心に旅を続け、人々の飾らない日常と笑顔を撮り続けている。現地でバイクを調達して、行き先を決めずに移動するのが、旅の定番スタイル。2019年までにインドをバイクで7周し、合計11万キロ以上を走破した。
旅の経験を生かしたフォトエッセイの執筆や講演活動を精力的に行う一方、広告写真やCM撮影など、仕事の幅を広げている。「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2018」においてグランプリを受賞。
出版した著作は10冊。訪問国は39ヶ国。

三井 昌志ウェブサイト http://tabisora.com/